やわらか図書館学

主に大学図書館のデザイン・広報に関するブログです。

「カーリル」という名前のデザイン性

カーリル | 日本最大の図書館蔵書検索サイト | カーリルが話題ですね。最初は割と敗北感を感じていたんですが、逆に今は「完敗です。学ばせていただきます。」というのが、「カーリル」に対しての自分の態度です。

その素晴らしい機能については、たくさんの方が素晴らしい解説をされているので、いまさら自分がどうこういうこともないでしょう。

そこで今回は、サイトデザインもすごくいいんでずか、「カーリル」という名前、その名前もすごくいい!ということで、そのデザイン性(ここでは目的をかなえるための命名くらいの意味です。)について考えてみたいと思います。


・ゆるい名前
生粋の江戸っ子でも「そのままやんけ」と思わず関西弁で突っ込みたくなるゆるい名前。でも一目でなんとなく機能がイメージできるステキな名前。固いイメージを持たれがちな図書館だけに、なお有効でしょう。これを図書館員が作ると、やれ「なんちゃら横断検索」だ、「ほにゃららOPAC」だ、といった今までの名称の域を出ない名前になってしまうのかなと思います。それじゃあ、どんなに機能がよくても、「使ってみよう♪」とは、なかなかならないんじゃないかなと思います。


・「サーガス」じゃなくて「カーリル」
「本を探して欲しいわけじゃない、借りて欲しいんだ!」っていう製作者の思いが滲み出るかのような名前。とかく検索システムのことを考えると「探す」ということに主眼を置いてしまいがちですが、違うんですよね。「探す」のはあくまで過程で、目的はその先の「借りる」ことなんですよね。そんなことを気付かされるお名前。


・カーリル≒グーグル
ちょっとこじつけかもしれませんが、グーグルとカーリル、名前がとっても似てるじゃないですか!これもきっと、利用される方に親しみを持ってもらうことに、一役買ってる気がします。(そんなことないですかね…)


そんなこんなで、素晴らしい機能のシステムを作るだけではなく、そのシステムがみんなに受け入れられやすいように名前ひとつとっても工夫しているところに、「あぁ、素晴らしい…完敗…」と思うわけです。図書館業界って利用者に対して、システムにしろ資料にしろ、あまり上手に広報せずに「なんでこんなに便利なのに使ってくれないの」みたいに考えている空気を、たまに感じますからね。


「なんでこんなに好きなのに気付いてくれないの」とか思ってる15の女の子じゃないんですから、愛されるための工夫、どんどん使ってもらうためのアピールを考えていかなくては、と改めて認識させてくれた「カーリル」。あんまり食われないように、図書館業界もがんばらないとですね。このブログの名前も仮で始めたままなので、何か考えないと…。