やわらか図書館学

主に大学図書館のデザイン・広報に関するブログです。

図書館でノートをコピーしたらいけないのかな

そろそろ7月、大学は試験期間を迎えます。自分は閲覧にいるとき、この試験期間というのがたまらなくいやでした。それは、
「ノート、コピーさせてください。」
という学生さんがたくさんいらっしゃるからです。うちの大学の方針としては「私物のコピーは不可」となっていたので、まぁ一応それなりに理由を述べて断るわけですが、自分自身納得いかない状況で理由を説明しちゃったりしてるわけで、当然聞いている側も納得が行くはずがなく、まぁ、お互い釈然としないで泣き別れみたいなことがままあったわけです。
で、改めてちょっと気になったので調べてみたところ、やはり「図書館のコピー機は著作権法31条による複写サービスを行うために設置されているので、それ以外の資料をコピーするのは違法」みたいなニュアンスで、利用案内を書かれている大学様が多いみたいなんですよね。自分がお断りするときも、似たようなことを言っていたんですが、これってどうなんでしょうね。でもって、大学図書館協会発行の「大学図書館における著作権問題Q&A」(第7版)には、下記のように書いてあるわけです。

Q2:図書館に設置しているコピー機で、利用者が持ち込んだ資料・ノート等を複写したいという要望がありますが、許可して問題ないでしょうか。
A: 図書館に設置されたコピー機は法31条による複写サービスを行うために設置されているはずであり、図書館の管理下で厳格に運用されることが求められます。法31条で複製できるのは「図書館等の図書、記録その他の資料」であり、利用者所有の資料やノートの複写は法31条の範囲外となります。
法31条以外の複製権制限規定を考慮した場合、著作権法上、利用者の所有する資料やノートの複写が問題であるとは必ずしも言えませんし、学内の限られた資源としてのコピー機を有効に活用するという観点からは判断が難しいところですが、権利者側から、図書館内で行われる複写は法31条に基づく複写に限られるべきとの主張もありますので、館外のコピー機の利用を促すべきでしょう。

http://wwwsoc.nii.ac.jp/anul/j/documents/coop/copyrightQA_v7.pdf

これらのことと著作権法を「う〜ん」と見比べて、自分が思ったことは…

  • 「図書館に設置されたコピー機は法31条による複写サービスを行うために設置」って何でしょ?
  • 法31条の範囲外=違法ってことはなさそう。

法31条って超省略すると「図書館は次の場合であれば、図書館資料を複写できる」(対偶は「図書館が図書館資料を複写できないなら、次の場合でない。」)って書いてあるだけで、図書館資料以外のことについては何も規定してないし、ましてやコピー機の設置のことについては何も言ってない気がするんですが…。利用者が私物をコピー(自分の著作物を複製)するためも兼ねてコピー機設置しちゃいけないんでしょうか。
まぁ、上記Q&Aでも曖昧な書き方してるし、私物のコピーしてはいけないっていう法的根拠はないってことなんですかね。とはいえ、じゃあ「館の運用方針で私物のコピーは不可としています」ってするなら、利用者に不利益しか与えてないということで、それはそれでより大きな問題な気がしますが。。ですので、法的根拠がないなら外のコピー機の利用を促すこともないだろう、というのが自分の考えです。(もちろん図書館資料のコピー優先にするのはいいと思いますが。)
あんまりやわらかくない話題ですし、不勉強な自分がどうこういう話でもないかなと思いましたが、試験期のポスター作ろうとして気になったので、記事にしてみました。自分の中でずっと引っかかってきた問題なので、もし「私物コピーは不可」という明確な説明がございましたら、お手数ですがご教示いただけましたら幸いです。
それでは。