こういう図書館学だったら好きになったかもしれない
最近ハマっているポッドキャストの「図書館情報学を愛したいラジオ」*1さんやklis Advent Calender 2024のmiyaさんのnote*2など、妙に図書館情報学について耳にする機会が多かった今年後半を締めくくるにふさわしい、佐藤翔先生の『図書館を学問する:なぜ図書館の本棚はいっぱいにならないのか』を拝読しました。
少し自分の話になりますが、私は大学で「図書館学」を専攻していました。ただ、当時の私は大学の講義というものに古典的な学問のイメージを持っていたこともあり、図書館学の講義が司書になるための実務的なものばかりであるように感じ、残念ながらあまり興味を持つことができませんでした。今考えると、入学して早々に司書は狭い門だと聞き、「なら自分には無理だな」と早々にその道を選択肢から外していたことも、関心が持てなかった理由の一つだったかのかもしれません。(そんな自分が大学図書館で働かせていただけているのだから不思議なものです。)
上述のポッドキャストを聴いていると「図書館情報学」を大好きな気持ちが伝わってきて、もしかしたら自分も「図書館学」ではなく「図書館情報学」だったらもう少し興味を持てていたのかなと、少しうらやましく感じていました。この本も、もし学生時代に、この本に描かれているような講義が受けられていたなら、もっと興味を持つことができたのかもしれない、そんな風に感じさせてくれる一冊です。
テトリスのようなテンポで読み進められます
本書は公共図書館について、題名にもある「図書館の本棚はいっぱいならないのか」といったさまざまなトピックを、データをもとに分析した一冊です。私は大学図書館員であり、公共図書館については門外漢なため、分析されている内容については「これは実感にあってるなぁ」とか「公共はそういうもんなのかぁ」とか、一利用者の目線で楽しく読めました。
また、どのトピックも結論が気になる問題が設定されており、一つ一つがちょうどいい長さでまとめられているので、テンポよく読み進められました。
これはただの私の感じ方ですが、本を読んでいる途中、話の進め方がテトリスみたいだなと思いました。統計初心者の私でもわかるくらい、一つ一つ丁寧に説明を積み上げていく様子が、テトリスで端の一列を開けてブロックを平積みしていく様子のように感じられ、最後の分析結果で話がスッキリまとまる様子は、テトリス棒で一気にブロックを消すかのような爽快感すら感じます。そして次の章へ進み、またまっさらなところに一つ一つ丁寧に積み上げてと、そんな小気味良いテンポを感じる読書体験でした*3。
データを見るのが好き
私はデータをまとめるのが結構好きで、そういう業務を命じられると、他の業務を後回しにして嬉々として取り組んでしまいます。現象が数字やグラフではっきり見えるようになるのが好きなんだと思います*4。ですので、このブログでもコロナ禍には大学図書館の閉館状況をグラフにまとめたり*5、SNSのアカウントについてまとめたりなどしてきました。
一方で、そうしてまとめたデータから何かを言うということは、どうしても主観混じりになってしまうのではないかということや、手法を知らないということもあって、そこまで興味がなかったのですが、この本を読み、データをまとめて客観的に分析するってこういうことなのかと、その一端が感じられ、とても勉強になりました。しっかりとデータに基づいて「こんなことが言える」「これははっきりとは言えない」と誠実な説明をしてくださるところに惹かれ、データ分析への興味が高まりました。
大学図書館で考えてみると
本書でさまざまなデータに基づく分析を読んでいて、大学図書館ではどういうデータ分析ができるんだろう、職員としてどういうデータ分析が有効なんだろう、と考えさせられました。
大学図書館で働いていると「図書館のプレゼンスを上げる」という文言をよく耳にしますが、研究系大学であれば、転換契約やAPC支援を使用した研究者と外部資金獲得額の相関であったり、教育系大学であれば、教員就職者と図書館利用の相関であったり、そういう大学のミッションと繋がるデータを執行部へ示せると、本当に図書館のプレゼンスを上げることにつながるのかなと、そういうことがやってみたいなと思いました。
2025年の課題としたいと思います。
最後にもう一つ
はてなダイアリーについて多く言及されていたのも、同じはてなダイアリー利用者として嬉しかったです。私がブログを始めた当時、佐藤翔先生がTwitterや「はてブ」で言及してくださったことがモチベーションに繋がり、ブログを続けられたため、とても感謝していました。この場を借りて御礼申し上げます。
お相手はやわらか図書館学でした。
