昨年出版されて、その豪華なインタビュイーからも話題になった一冊。
「図書館活用術」というタイトルですが、各界のトップランナーたちが図書館をどう利用してきたかにとどまらず、広く“知”との関わりをインタビューで聞き出す熱いインタビュー集でしたので、頭の中では葉○瀬太郎がバイオリンを奏で、ス○シカオが唄い出し、この手のノリにめっぽう弱い自分は「これはアガるわ〜」と興奮しながら読了しました。
教養が深い方々の話は、巨人の肩の上に立って話が進むので展開が早い、ということが強く印象に残りました。
印象に残ったフレーズ
個人的に印象に残った箇所が多くあったので、あとで思い出せるようにメモを残しておきたいと思います。
でも東京で絶望したのは図書館がないことです。*1
東京の図書館関係者が怒りそう、という自分も東京の図書館関係者なわけですが、以前、東京のある自治体の中央図書館に初めて行った時、地元の図書館と比べて「これが中央図書館?」と思ったことが自分もあるので、長岡市の中央図書館と比べたとき、智恵子抄になってしまう気持ちもよくわかります。
これまで教養へのアクセスは図書館が大きい役割を占めていたと思うんですが、僕は図書館だけじゃなくて、新古書店での立ち読みや近所のレンタルCDショップで借りた映画をみる、そういう形でアクセスをしていたんだと思います。*2
ツタヤ図書館が話題になったときに感じていたこと。中高生のとき、もし近所にツタヤがなかったら、人生で触れてきた映画や音楽は今の半分以下になっていたと思うので、図書館とツタヤは自分の中のカルチャーを育ててくれた両翼だと思っています。のであまりツタヤに反感を覚えない。(小声)
アメリカの図書館では、利用者がコーヒーを飲みながら本を読んでますよね。(中略)みんな家でコーヒー飲みながら本を読むでしょ、なら図書館の中でコーヒーを飲んじゃいけないって禁止はロジックとして成り立たない。*3
一瞬、このロジックがわからなかったくらい、頭が硬い私です。理由をつけようと思えば、図書館内は禁帯の本もあるし、とかいくらでも理由をつけられると思うのですが、少なくとも自分の中では、そうした理由は建前で、起こるかどうかもわからないトラブルへの「漠然とした不安」というのが大きいのだなということを改めて感じ、反省しました。
読みたいと思った本
インタビューの中で多種多様な本に触れられているのですが、その中でも特に読みたいと思った本たちです。こちらもメモ。
- レイ・ブラッドベリー「華氏451度」
- 鈴木孝夫「ことばと文化」
- アリストテレス「詩学」
- 高屋敷英夫「小説 ドラゴンクエスト」(確か昔持ってた)
- 花井裕一郎「はなぼん〜わくわく演出マネジメント」
この本を読み終えたとき、岡部先生があとがきに書かれているように「ぜひ高校生に読んでもらい、"知"への欲求を深めて欲しい!」とか思ったんですが、冷静になってみると、自分自身、全く"知"に対して真摯に向き合っていないので、若い方々にそんな上から目線で言えるわけもなく、まずは自分自身のことを省みて、ひとまず上にあげた本を読もうかななどと思った次第です。
お相手はやわらか図書館学でした。