やわらか図書館学

主に大学図書館のデザイン・広報に関するブログです。

Citation from Twitter


ツイートを論文に引用して、参考文献にあげるときのフォーマットがしめされました。詳しくはカレントアウェアネスの下記の記事にて紹介されています。
ツイートを学術論文で参照文献として表記するスタイルをMLAが発表 | カレントアウェアネス・ポータル
形式は「ラストネーム, ファーストネーム (ユーザー名). “ツイート本文.” 日付, 時間. Tweet.」となるようです。例えば自分が今まで一番RTをいただけたツイートを例にあげてみると、こんな感じの記述になります。

Katharine(Katharine15), "カレログについてのスレに書かれていた「世界一長い首輪」ってのが名コピーだなと。" 31 Aug 2011, 0:15 a.m. Tweet.

図書館勤務でライティングの講師をされてる方は、講義の際、この"Twitterからの引用方法"というネタ一本まぜこんでおくだけでドッカンドッカンなんじゃないでしょうか。

ツイートが情報源となる例

とはいえ、え〜ツイートなんて引用してどうするの〜というのが、多くの方の感想だと思います。確かに「川村ゆきえ萌え〜」とか「ラーメンうま〜」とかのツイートが、論文に引用されることは、あまり想像できません。ただ、自分は先日下記の記事を読んで、ツイートもちゃんとした情報源(引用元)になるんだなぁと実感しました。
「ぞっとした」にぞっとした話
ある新聞記事の情報源になった人の「自分の意図は新聞記事と違うよ」というツイートを引用して、新聞記事の誤りを指摘するというのが、この記事の主な内容です。こうした例のように、ツイートの内容と記事の内容がうまくマッチすれば、ツイートでも十分引用元として機能するんだなと思いました。
この例はブログの記事ですが、例えば国会図書館長が「納本制度もうむりぽ」とかツイートすれば、たぶん図書館学系の論文で、ものすごい数のサイテーションを稼ぐんじゃないかなとか思います。

ツイートが引用されることになって生じる疑問

さて、そうなってくるとひとつ疑問がうまれます。
ツイートの引用形式が定まり、ツイートが情報源となりました。ウェブからの引用形式は前々から定まっています。そうした一次情報が増えている中、図書館が集める資料は、論文とか学会発表とかのアカデミック業界で認められた成果だけでいいのかな?ということです。
現状、大学図書館が重視している研究業績資料は、学術雑誌、学会誌、会議録などアカデミック業界で発表された研究成果です。アカデミックな世界の評価基準がそうだからというもありますが、情報源の形式が増えているのに、収集される資料がこれらに限られるというのは、ボトルネックというか、ちょっといびつなように感じます。ご存知のように、ツイートはもとより、ウェブ上の情報は、時間が経つとアクセスできなくなるものが多いです。利用者が論文を読んで、「お、この参考文献にあがってるツイートの前後の文脈見てみたいな〜」と思った時に、一次情報を利用者に提供できないっていうのは、ちょっと痛いのかなと思います。

結論

そうしたことを考えると、米国議会図書館がツイートを保存するようにしたこと(E1042 - 米国議会図書館,Twitterの全公開ツイートを保存へ | カレントアウェアネス・ポータル)は、目的こそ違うようですが、一次情報確保という観点から見てもすごいなぁと思います。今後、この例のようにウェブ上の情報がアカデミックなものとして扱われていくことが進むと、ツイートやブログが研究成果発表の場になったりするようになるのかなぁ、なったらオープンアクセスとかいうレベルじゃなくて面白いなぁ。そんなようなことを今回のニュースを読んで思いました。
以下蛇足
今後、RT数、ふぁぼ数に続き、論文への引用数(Cited)もツイートの評価基準に加わったら面白いですね。ぜひThomson様にはがんばっていただいて、アカウント毎のインパクトファクターとか計算する方法を確立してほしいものです。