仁上先生の「図書館員のためのPR実践講座 -見方づくり戦略入門-」を拝読したので、感想など書きたいと思います。
広報は人のためならず
この本の副題は「味方づくり戦略入門」となっていますが、まさにその副題のとおりで、広報は図書館の味方づくりという観点のもと、広報の実施や広報物の作成を行ううえでの基本的な考え方を学ぶことができました。
特に第5章の「「広報=お知らせ」という誤解から抜け出す」に、PRというのは「Public Relations」で、
PR本来の目的は、ある組織(図書館)が、公衆・利害関係者との有効な関係を築くことによって、その経営目標の実現を用意にすること、つまり経営環境の整備にある*1
と書かれているところ(引用ですが)は、日頃おぼろげに考えていたことが、すごい明快に言語化された気がして、曇りがはれたような気持ちになりました。
また、
広報活動は、時間の余裕があるときに取り組めばいいというような非本来的なオプション業務などではなく、図書館と図書館員の見方づくりのために、常日頃から、より意識的に、より積極的に、あらゆる機会に、あらゆる方法手段を総動員して行われるべき最重要業務の一つ*2
とも書かれており、こうした認識が館内で共有されているといろいろなことがもっと楽になるんだろうなぁと感じました。
いままで「味方づくり」は大事なことだと思いつつも、それを掲げることに若干後ろめたさのようなものを感じていたのですが、「味方づくり」を行うことの目的が自分のなかで曖昧だったんだなということに気づかされました。
なお、実際に広報物を作るテクニックについては、あまり具体的なことは書かれておらず、基本的な事項のみに留められているのですが、基本的な事項すら知られていないのが現状でしょうし、具体的なテクニックについては特に図書館関係の書籍にあたらなくても、世の中に参考になる本がたくさんあるので、そうした本をあたればいいのではないかと思います。個人的には、ポスターを作成するとき、小さい字を恐れない、と書いていただいてあることが、ありがたかったです。
ここが少し残念でした
最近「残念」という言葉は妙に皮肉的に使われていて、なんとなく使いづらいのですが、文字通り、ここがよければもっといいのになぁと、自分が感じたところです。偉そうなこと書いてすみません。
写真が少し見づらいです
「いい例」があまり良くないかも
なるべく多くの人に読んでほしいです
ちょっとネガティブなことを書いてしまいましたが、上でも書いたように、この本に書かれているような認識が共有されていると、本当にいろいろなことがスムーズになるんだろうなぁと思います。
まえがきに書かれているように、広報のエッセンスが、わかりやすくまとめられていて、手軽に読める分量なので、なるべく多くの方に読んでいただきたいなぁと思いました。
ありがとうございました。
参考
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