最近、機関リポジトリの役割、みたいな話をよく目にするので、実際のところどうなんだろうと学術情報基盤調査の数字をグラフにしてみました。*1
なお、タイトルを「学術情報基盤実態調査にみる機関リポジトリの課題」としていますが、アンケート調査の結果なので、厳密にいうと「課題(と担当者が考えていること)」であり、実際の課題とは異なる場合もあるかと思います。
課題 - 機関リポジトリ
回答数
割合
- 元データの出典:文部科学省 学術情報基盤実態調査「大学図書館編」
- パーセンテージの母数は、機関リポジトリを構築している大学数
- 「大学全体におけるリポジトリ事業の位置付けの明確化」は2011年から調査項目
感想
- 思ったほどの変化はありませんでしたが、他の項目は割合が漸減しているのに対して「大学全体におけるリポジトリ事業の位置付けの明確化」の割合だけ年々増加しているので、「機関リポジトリの役割」とはちょっと違いますが、アイデンティティ的な課題は増えていると言えるんでしょうか。
- 逆にどうなったら大学の中での位置付けが明確になっていると言えるのか、を考えると、どうなんでしょうね。オープンアクセス方針が定められていて、機関リポジトリがその公開のプラットフォームの一つとして指定されているとか、紀要などの大学刊行物の公開プラットフォームとして明確に位置付けられているとかでしょうか。
- 「運営資金の確保」のお悩みが増えていないのは、やっぱりJAIRO Cloudのおかげですかね。
- 今回は、国公私、大学規模の別を分けずにグラフにしてみましたが、それぞれ分けたものを作ってみても面白いかと思います。
- 余談ですが、e-statで公開されている統計のパーセンテージが、古い年だと複数回答可の選択肢なのに回答数の総数の割合になっていたりしてびっくりしました。(なので、上のグラフの値は独自に算出した年もあります。)
お相手はやわらか図書館学でした。
参考
*1:というのは嘘で学術情報基盤調査でグラフ作りたいなぁと思って統計をみていて、この項目がおもしろそうと思っただけです。