やわらか図書館学

主に大学図書館のデザイン・広報に関するブログです。

大学図書館の貸出冊数の推移を調べてみました

 

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少し前の話になりますが、大学生の読書時間が減っているという生協の調査のニュースがあり、いくつかのニュースの中では「学生の本離れ」、「スマホの普及で読書時間減少」といった説明がされていました。*1

それを読んだときは「なんかわかりやすすぎるなぁ」ぐらいの感想だったのですが、その後、折よく文科省の学術情報基盤実態調査*2の平成25年度版が公表され、その中で大学図書館の貸出冊数を調べられることに気づいたので、ちょっとどんなものか調べてみようかなと思いました。

 

ということで、学術情報基盤実態調査をもとに、国公私それぞれの平均年間貸出冊数の推移をグラフにまとめたものがこちらになります。*3

 

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グラフ内の凡例ABCDは、大学の規模を表していて、A: 8学部以上、B: 5〜7学部、C: 2〜4学部、D: 単科大学となっているようです。

このグラフをもって、冒頭の「学生の読書時間が減っている」というお話に反論する意図はまったくないのですが、少なくとも大学図書館での貸出冊数は、そんなに大きくは推移していないなぁという印象です。

もともとのニュースは単純に調査結果の事実として「学生の読書時間が減っている」ということを報道しただけかと思いますが、なんとなくそのニュースからは、「大学生が勉強しなくなった」というニュアンスが感じられました。

ただ、冒頭のニュースの元となった生協の学生生活実態調査でも読書時間の減少と並んで、「勉強時間の増加」ということも記載されています*4し、上記のように図書館での貸出数も顕著な推移は見られないので、読書時間が減っている=勉強のために本に触れる時間が減っている、というわけではないのかなぁと思いました。(そもそもの勉強時間が多いかどうかは別として。)

これは勝手な推測ですが、アンケート回答者が読書時間について回答するとき、勉強のために本を調べたりするのは「読書」に含んでいなくて、いわゆる趣味的な「読書」を想定して回答したのかなぁなどと感じました。

 

さて、だんだん自分の勝手読みに自分で反論してるみたいな感じになってきてしまったので、この話はこのくらいにしておきたいと思います。

今回こうしたグラフを作ってみて、ふと個人的に思い立ったときにデータが手に入るというのはとてもありがたいなぁと、オープンデータのありがたさをあらためて感じました。

ありがとうございました。

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